現在、スタジオも住居も建て替え中につき
仮住まい先での生活を満喫しております。
振り返ると、旧スタジオにはニャンコちゃんたちが数匹、
毎日のように塀をつたって庭に遊びに来ていました。
それはどこかの飼い猫だったり野良猫だったり、
その色柄大きさは様々。
レッスン中に窓の外で猫たちがのんびり塀を歩いたり、
塀の上で日向ぼっこをする姿は
この時代、なかなかの風情ある光景。
建物を取り壊してしまった今「あの子たちはどうしてるかな…」と
思い出すこともしばしば。
そんな中、今の住宅でも一匹の可愛いニャンコちゃんと遭遇。
それは朝と夕方になると決まってエントランスにいる茶トラの小ぶりな猫。
ここ(仮住まい先)は集合住宅。
家の中では飼えないので、この子はきっと野良猫。(たぶん)
エントランス前を通ると、時折誰かがご飯をあげている。
それは不定期で、決まった時間はない。
ご飯をあげている様子を見るとみんな優しい笑顔。
きっと皆んなこの猫に癒されている。
私もそのうちの一人であることには間違いない。
気が付けばその猫の様子を家族にも伝えるようになり
初めの頃は「あのニャンコ」と、それがまるで名前であるかのように伝えていました。
そう言えばあのニャンコには名前がないのだろうか?」
ある時ふとそう思い、エントランスを通る時に誰かが名前を呼ばないかどうか
ご飯をあげる様子を横目に
同時に耳を澄ませながらそばを通ること数回。
何度かチャレンジするも、結局名前を呼んでいるのを聞く事は出来ず
聞こえてくるのはニャンコちゃんのそばにいる、おばちゃんたちの井戸端会議…。
そんな矢先、ふらっと立ち寄った本屋さんで
何かに見つめられているような気配を感じ
その先に目線を移すと
そこには表紙に「あのニャンコ」そっくりの猫が描かれた一冊の絵本が。
思わず手に取り、タイトルを見ると
「名前のないねこ」
表紙をめくり絵本を読んでみると…
それは名前のない「ある一匹の猫」のお話。
〜主人公の猫は一匹の野良猫。
周りは名前を持っている飼い猫たちばかり。
名前があるっていいな。名前が欲しい。
猫は自分の名前を探しに街中を歩きはじめます。
名前のある猫たちは八百屋の看板猫だったり、
可愛がられている飼い猫だったり、自分とは違う。
名前探しに疲れ、雨が降ってきて
雨宿りは公園のベンチの下。
赤い傘をさした1人の幼い女の子がベンチを除き込む。
そして
「目がメロン色だね。メロンちゃん」と呼ばれるのです。
それから赤い傘の女の子とお母さんの後を嬉しそうに付いて行く。
歩きながら主人公の猫は「僕は名前が欲しかったんじゃない。
名前を呼んでくれる人が欲しかったんだ」と呟いて終わる。
〜そんな物語。
名前をつけてもらうという事は
誰かに受け入れられるということ。
欲しかったのは名前そのものじゃない
名前を呼んでくれる人
愛してくれる人
可愛がってくれる人
猫は様々な経験を通して
最後に自分が本当に欲しかったものに気付くのです。
その後、女の子に飼われたのかどうかはわかりませんが
切なくも最後は何だかほのぼのするストーリー。
ところで…クーリアでは生徒さんを呼ぶ時に
必ず下のお名前で呼んでいます。
その理由は
皆さんが一旦、普段の肩書きを捨て
一人の女性として
ご自身の大切な心と身体へ素直に向き合える、
そんな時間を過ごして欲しいから。
人間には生まれながらに自分だけの名前がある。
ところが大人になると、〇〇さんと苗字で呼ばれたり
〇〇ちゃんママだとか
〇〇さんの奥さんだとか
自分の下の名前で呼ばれる機会が少なくなってしまう。
そして、いつのまにか
「名前で呼ばれたのって最後はいつだっけ?」なんてことに。
大人になると肩書きが色々付いてくる。
その肩書きで名前が消されてしまう。
その肩書きは自分が欲しくて手に入れたものもあれば
そうでないものも。
そしてそれが時々鬱陶しく感じることがある。
本当の自分て何?
そんな風に思い悩み苦しんだら
きっとそれは肩書のせいかも知れない。
そんな時は一旦肩書を忘れ
肩書のない場所で過ごしたらいい。
絵本の中の猫がはじめに欲しがっていたのは
「名前のある猫」という肩書き。
野良猫」ではなく自分だけの名前。
のちにそれが自分の欲しかったものとは違うことに気付く。
あなたがもし今
何かの肩書に拘っているとしたら
それを手に入れたら人生はどう変わりますか?
肩書だけで幸せになれますか?
あなたにしかない「何か」に惹かれ
近くにいてくれる人
あなたの存在だけで寄り添ってくれる人
無条件に愛し受け入れてくれる人
そんな人たちがいるならば
むしろ肩書なんてどうでもいい。
何て呼ばれようと「あなた」であることに変わりはない。
必要なのはあなたがあなたらしく生きること。
あなたらしく生きていれば
その存在を愛おしく、必要としている人と
きっと巡り会える…
優しい笑顔で
あなたの名前を呼んでくれた人を大切に。。。
ちなみに、我が家は「あのニャンコ」を
「きなこ」と名付けました♪
例え野良猫でも、もしかしたら飼い猫でも
そして他に名前があったとしてもそれは関係ない。
私たちにとってこの子はきな粉色した「きなこちゃん」だから。
毎日近所に「きなこちゃん」がいて
愛おしく、皆んなを笑顔にしてくれる
その存在自体に感謝しかない。。。