旅行好きな私。
特に、決められたスケジュールのない自分自身で組み立てる自由な旅が大好き。今まで様々な国へ旅をして来ましたが、それぞれに素敵な楽しい思い出は沢山あります。そんな中、命あることや自分の環境に感謝し、一番深く考えさせられた旅があります。
今から10年以上前・・・訪れたのはベトナムとカンボジア。
いわゆるバックパッカースタイルでチケットだけを取って、宿はその日に交渉しながら格安な所に泊まる毎日。なんでベトナムとカンボジアに決めたのか、はっきりとは覚えていませんが、日本と言う先進国に住み、海外旅行でも先進国への旅が続いていたため、発展途上国を訪れて物価の違いや文化の違いを見てみたかった・・・そんなところだったと思います。そしてカンボジアで『アンコールワット』を見たかった。たいして深く考えず、安易な気持ちで友達と2人で訪れた場所。今ではこの経験が深く心に刻まれています。
ベトナムでは、日本でのベトナム雑貨ブームが少し始まっていた頃、日本人とわかると変な日本語で話しかけられ、皆さん興味深々。そして、日本人ならお金を持っているし、騙してもいいだろうと、あらゆる場所で「ウソツキ」が存在します。そんな騙される事から逃れるために常に神経を遣い、ちょっと疲れてしまった私。正直、滞在3日目にして二度とベトナムなんか来ない!って思ってしまいました。
そんな時・・・一人のバイクタクシーのおじさんに話しかけられました。「1日好きな所に連れて行くから乗ってみないか?」と言われ、また騙す気か!?と、眉間にシワを寄せながら警戒心丸出しで話を聞いてみました。すると、料金がとてもリーズナブル。あれ!?おかしいな・・・本気?と思いましたが、そのおじさんは「ベトナムは皆が悪い人じゃないよ。もし心配なら先払いでもいい。心配ならこれを見せるよ」と、世界中の旅人がおじさんに宛てたお礼の手紙・・・先払いだし、いいかなと良心的で真面目なおじさんを信用することに。結局本当にいい方で、2日間安心してお世話になり、挙句の果てにはご自宅にもご招待して頂きました。
仕事は息子さんと2人でバイクタクシー。どんなお宅かと思ったら、四角い箱にガスコンロと水の入ったツボ(キッチン?)そして神棚と自転車とラジカセ・・・(部屋の中に自転車が飾られていました(笑))嬉しそうに電化製品を見せてくれて、「日本製、これが宝物だ」と自慢げにはしゃぐおじさん。日本ではあらゆる電化製品に囲まれる生活、水道も火も、電気も使い放題な生活とは全く違う。そんな光景はきっと想像もつかないでしょう。でもご家族の皆さんも日本は豊かな国と知っていながらもベトナムの貧しい家庭なりの最高のおもてなしをしてくださいました。お食事(白米と春巻き)を頂きながらおじさんの口から出た言葉が今でも忘れられません。
それがこの言葉です。「ベトナム人は悪い人ばかりじゃない。ただ、豊かな国から来た方が疑いもせずにお金をどんどん払う。だからみんな楽をして仕事をするようになってしまった。体を使わず、ずる賢く頭を使うんだ。日本に帰ったら皆に伝えて欲しいことがある。お金を大切に。間違ったことはNOときちんと言えるように。お金で物事を簡単に片付けないように・・・。そして、物乞いにはお金をあげないでください。君たちの国では大したことの無い金額でも、ベトナム人にとっては大金です。一時の幸せが頑張ろうとする力を無くしてしまう。永遠にお金をもらえる訳じゃない。その時だけの幸せ感が皆をダメにしてしまうんだ。でも、君たちみたいにきちんとお金を大切にする日本人と出逢えてよかった。またいつでもここにおいで。」
そんなメッセージと、ベトナムコーヒーのお土産まで頂き、2日間の優しさや感謝の気持ちが溢れてお別れするのに号泣してしまいました。ベトナムを嫌いにならなくて良かった・・・そんな自分と、おじさんからのメッセージが心に響きます。
《つづく》
長文ですみません。ここまで読んで頂きありがとうございました。実はまだまだ続きます。お疲れで無い方は『後編』もご覧頂ければ幸いです。